東京藝術大学大学院美術研究科博士審査展

Doctoral Program
Final Exhibition 2018 Tokyo University of the Arts
2018.12.11 tue. - 12.20 thu.

Message from the President

2007年より開始された美術研究科の「博士審査展」は、本年で第12回目を迎えます。我が国唯一の国立総合芸術大学である本学で、実技系の博士学位審査の一環として行われているのが、この展覧会です。
130余年の歴史の中で、最初の博士学位取得者が生まれたのは、1983年と、比較的最近のことです。その後、2004年の国立大学法人化を経て、2014年には文部科学省「スーパーグローバル創成事業」(SGU)の指定校となりました。
活動の場が海外へ大きく広がる現在、卓越した能力を持つ多くの学生らにとって最高水準の教育研究環境を実現出来るよう、教職員一同、国際化に努めてまいりました。海外大学との交流提携や留学生の大幅な増加は、近年の博士審査展にもはっきりとその成果が現れるようになりました。そうした中での博士審査展は、本学の研究教育の水準を示す最高学位の審査となります。
本展に提出された作品は、「美術とはなにか」「自分とはなにか」を、若さの特権ともいうべき瑞々しい感性で捉えた自己像・時代観・社会観であり、同時に現在の未来観と歴史観でもあります。彼らの作品は、同じ表現者・研究者として、私共教員らにも大きな刺激と自省をもたらしてくれるものです。優れた研究教育環境を維持する責務への思いを新たにすると共に、引き続き、教育の質とサポート環境の水準向上に努めてまいる所存です。
関係各位のご理解とご支援に、心より御礼を申し上げますとともに、学部から10年をかけてここまで至った彼らの努力と研鑽の成果を、ぜひご高覧いただければ幸いです。
東京藝術大学
学長  澤 和樹

Message from the Director of Graduate School of Fine Arts

東京藝術大学大学院美術研究科の博士学位審査には、学科系研究領域の「論文」によるものと、実技系研究領域の「作品と論文」によるものという二つの形式があります。本学のように実技系の学生が多数を占める大学院においては、その審査方法について、これまで様々な見地から検討がなされてきました。
実技作品における感性・技巧・表現等の質の追求は、本学の教育、研究の中心を成すものであります。実技系の博士後期課程においては、国内はもちろん国際的な見地においても一流の創作性と質の高い作品の追求をしなければなりません。それと同時に、客観的考察や論理的思考の追求も必要になってきます。これら作品制作と論文執筆の相乗効果により、博士学位取得の目的が果たされることができます。
本学の美術研究科では、学位審査の対象となる作品展示と論文発表を一つの会場で開催し、「博士審査展」として一般に公開してまいりました。今年度はさらに充実した博士後期課程作品発表展が開催されました。
また、平成26年度から博士審査展図録はweb上で公開されることになりました。こちらの図録には、展示作品の写真と研究論文の要旨を併せて掲載しております。これにより、各学生の研究の全体像を皆様にご理解いただけることはもとより、アーカイブとしての役割をも果たすことになります。
本学における博士学位取得は、まさに多くの方々のご理解と、教育・研究面でのご指導の賜物であります。皆様方に尽くせぬ感謝を申し上げます。本課程修了後、学生たちが芸術家、研究者として益々活躍していくことを期待するとともに、芸術分野での博士号の意義と社会的な価値が、一層定着していくことを願って止みません。また今回の博士審査展にご支援、ご協賛をいただいた団体、個人の皆様に心より厚くお礼申し上げます。
大学院美術研究科長
日比野 克彦

ABOUT

Doctoral Program Final Exhibition 2018

The University Art Museum in Ueno Campus
Open every day 10:00 -17:00 last admission 16:30
Admission Free

Ueno park 12-8.Taito-ku Tokyo
Organized by Tokyo University of the Arts Graduate
School of Fine Arts
Supported by Striders Co.

EXHIBITION

日本画

  • 「密集」表現のフォルム
  • まどろみのロマンティシズム
  • コンビナートを描く–ノスタルジーから生まれるユートピア–

油画

  • “ナラティヴ”の発現-「受け取り」による作品化-
  • “ひっ”繰り返す風景
  • 新しいキャンバス「不確実性の肯定生成の進化」
  • 実験という見方 

彫刻

  • 暗黙知の彫刻‐透過素材と身体音による空間表現‐

工芸

  • 現代陶磁彫刻の創作における中国文人的理想の応用
  • 動きの気配とガラスの両義性
  • 暮らしの出会いを鋳る―蝋原型の変形を取り入れた表現研究―
  • 制約の中から生まれる美 ‐「ふたかた(二型)」技法による染色表現‐
  • 髹飾層における凹凸の美意識

デザイン

  • 衣服と環境の同化
  • ロボットテクノロジーの応用による“夢”の実現
  • 表現のための活動プログラムをデザインする方法

先端芸術表現

  • 制御とズレ ―大島紬における「制御とズレ」の構造研究を通して―
  • ロトスコープとは何か ―20世紀美術とロトスコープ、あるいは拡張する運動―

保存修復

  • 鎌倉時代におけるカヤ材を用いた制作工程に関する研究
  • 滋賀院における寺院運営組織と空間構成の歴史的研究
  • 重要文化財 上杉神社蔵『紫綾金泥両界曼荼羅図』の作画技法に関する研究

保存科学

  • 接着剤「まめのり」に関する研究
  • 釉薬の発色に及ぼす融剤および遷移金属の効果
  • Evaluation of Fungal Deterioration and Control Methods of Ancient Egyptian Linen Textile and Its Packing Materials

WORKS

Past Doctoral Program
Final Exhibition

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